前回、下地補修のご紹介をさせていただきましたが、その前に必ず行うのが下地調査です。
大規模修繕工事では、足場組立完了後にまず下地調査を行います。
どのような不具合がどこにどれくらい発生しているのか、まずは調査して印を付けていきます。
下地調査のやり方には、目視、打診、触診があります。
目視により、タイルの割れや欠け、塗装面のひび割れ(クラック)などを確認します。
クラックの幅は、クラックスケールという定規をあてて確認します。
打診棒や打検ハンマー等を用いて、モルタル浮き、爆裂、脆弱塗膜などを確認します。
モルタル外壁やタイル外壁を叩いた時の音の反響によって、タイルやモルタルに浮きがないか等を判断する、とても経験のいる作業です。
浮き部等に気づかずそのままにしておくと、地震などの揺れや振動により剥落する恐れもあります。目視ではわからない部分も、打診で確認することが可能です。
触診により、手摺りや建具の強度を確認したり、腐食部分の劣化具合を見極めたりします。
それぞれの症状(ひび割れ・塗膜剥離・爆裂・タイルの浮き・タイルの割れなど)によって対処方法が変わる為、対処方法ごとにテープやスプレーで色分け等によりマーキングをします。
またこれらの調査結果を図面に落としていきます。
これらの下地調査を行うことによって、その後の下地補修をもれなく正確に実施することができ、建物の寿命を延ばすとともに資産価値を維持・増大することにつながります。
下地調査は大規模修繕工事の品質を左右する重要なプロセスです。
まずはしっかりとした調査をおすすめします。