
以前ご紹介した「屋上防水工事の種類と特徴」の中から、今回はその中の一つ「アスファルト防水・トーチ工法」について、より詳しく解説していきます。
以前の記事でもご紹介した通り、アスファルト防水には「熱工法」、「トーチ工法」、「常温工法」の3つの工法があります。
「トーチ工法」は一言でいうと、専用の「トーチバーナー」を使って改質アスファルトルーフィングという防水シートの裏面をあぶり、下地に溶着させて貼り付ける工法のことです。
「熱工法」の場合は現場でアスファルトを煮込むための大きな窯が必要ですが、「トーチ工法」はバーナーがあれば施工できるため、設備の設置や移動がスムーズで、煙や臭いも比較的抑えることができます。
まずは既存の防水層の撤去(かぶせ工法では不要)し、清掃し、しっかり乾燥させます。
下地に凸凹等がある場合は、モルタルなどで平らになるよう整えます。
続いて「プライマー」という接着剤を塗布します。これによりシートとの密着性を高めます。
改質アスファルトルーフィング(ポリマーを加えて柔軟性や耐久性を高めたアスファルトを不織布に含浸させたシート)の裏面と下地を同時にトーチバーナーで熱します。
アスファルトがちょうどよく溶けて光沢が出たタイミングを見極め、空気が入らないよう丁寧に転がしながら貼り付けていきます。

はみ出たアスファルトをバーナーでならして一体化させることで、水が浸入する隙間を完全にシャットアウトします。
マンションやアパートの改修工事でトーチ工法が多用されるのには理由があります。
1.高い耐久性と長寿命(約15年〜20年)
「 改質アスファルトルーフィング」は、従来のアスファルトに合成ゴムやプラスチック(ポリマー)を配合したものです。 この配合により、以下のような優れた特性を発揮します。
・温度変化に強い: 夏の高温でもダレにくく、冬の低温でも割れにくい柔軟性を持っています。
・追従性が高い: 建物は目に見えないレベルで常に動いていますが、柔軟なシートがその動きにしっかり追従するため、防水層が破断しにくくなります。
・耐候性が抜群: 紫外線による劣化に非常に強く、安定した防水性能を長期にわたって維持できるため、結果として15年〜20年という長い耐用年数が期待できます。
2.煙や臭いが少ない
釜で煮込む工法に比べると、施工時の煙や独特の臭いが大幅に抑えられます。近隣住民の方への配慮が必要な住宅街のマンション改修に最適です。
3.「かぶせ工法」が可能
既存の防水層を剥がさずに上から新しいシートを貼る「かぶせ工法」という方法もあります。撤去費用や廃材処理費を抑えることができ、また工期を大幅に短縮できます。
メリットの多いトーチ工法ですが、実は「非常に難易度が高い工法」でもあります。
・視認の難しさ: シートが「どこまで溶けているか」の判断は、職人の経験と感覚に委ねられます。溶け不足だと剥がれの原因になり、炙りすぎると材料が劣化します。 この「適正な溶融状態」を見極めるには、熟練工の経験と勘が必要です。
・火気管理: バーナーを使用するため、現場での徹底した火の管理と安全対策が欠かせません。
・複雑な場所: 排水溝(ドレン)周りや配管が入り組んだ場所は、シートの加工に熟練の技術が必要です。

トーチ工法は、適切な条件下で熟練の職人が施工することで、最高クラスの防水性能を発揮する工法です。アスファルト防水の中でもコストパフォーマンスに優れており、改修工事には特におすすめです。
アスピーレーションでは、経験豊富な職人が建物の状況に合わせて最適な工法をご提案いたします。 「うちの屋上はそろそろメンテナンスが必要かな?」 「今の防水層に重ねて工事できるの?」といった疑問がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。